【横須賀市 オープン・リニューアルレポ】DG CAMP AKIYA Yokosuka City-株式会社デジタルガレージが横須賀市秋谷に新たなスタートアップ支援拠点を開設
画像出典:株式会社デジタルガレージ
インキュベーションとは
インキュベーションとは日本語で鳥の雛を卵から孵す「孵化器」のこと。転じてビジネスの世界では芽を出したばかりの企業を一人前に育て、世界に送り出す役割を果たすことを「インキュベーション」と呼んでいる。
通常より安価な賃料でオフィスを提供したり、経営戦略などの専門的なアドバイス、資金調達などのサポートも行う。我が国でも経済の活性化、人材の育成、投資拡大を目的とし、こうしたインキュベーション施設を官民挙げて全国に増やしている。
株式会社デジタルガレージが横須賀市秋谷に開設した新たなスタートアップ支援拠点「DG CAMP AKIYA Yokosuka City」もそんなインキュベーション施設だ。2024年9月4日にはキックオフとなるオープニングイベントが大々的に催された。
株式会社デジタルガレージについて
デジタルガレージは1995年の設立からグローバルにスタートアップのインキュベーションや日本展開支援を数多く行ってきた。
1996年には世界初のインターネットプロバイダーを日本に投入。ロボット型検索サービスInfoseek Japanをローンチ。
2008年にはTwitterと資本業務提携を行い日本市場における戦略策定からローカライズ、マーケティングに至るジャパンエントリーをサポート。
2013年にはサンフランシスコにインキュベーションセンター「DG717」を開設。
2021年にはグローバル規模でのサステナビリティ関連スタートアップへの投資を強化。
これらの活動を通じ、独自のグローバルネットワーク、グローバルインキュベーションストリームを拡大している。
北米、日本、欧州、アジアを中心とした有望なスタートアップや最新テクノロジーにアクセスし、ジャパンエントリーの支援や日本の企業家の世界への挑戦をサポートしている。
DG CAMP AKIYA Yokosuka City
そんなデジタルガレージが全国初のChat GPT全庁試験導入や、産学官連携での生成AI技術活用など、生成AI活用に積極的な自治体のひとつである横須賀の地にスタートアップ支援および「DG Global Incubation Stream」の新たな拠点となることを目指して開設されたのが「DG CAMP AKIYA Yokosuka City」だ。
イベントではデジタルガレージを代表して次のお二人から当施設に込めた思いが語られた。
林郁様(デジタルガレージ 代表取締役 兼 社長執行役員グループCEO)
「世界中のテクノロジーの海に挑むファーストペンギン達をここ、『失敗を恐れない挑戦者を応援するまち』横須賀秋谷から世界へと繋いでいきたいと思います」
大熊 将人様(デジタルガレージ 取締役 兼 専務執行役員CBDO)
「2010年に日本初のアクセラレーターとして始まった「Open Network Lab」では、これまで150社以上のスタートアップを支援し、複数のユニコーンや上場企業を生み出してきました。これまでスタートアップが事業アイディアを研いたりピッチの練習を行う場として利用してきたDG CAMPがこの度鎌倉から秋谷に移り、さらにスケールアップしたことで今まで以上に多方面からスタートアップの成長支援を行い、スタートアップコミュニティに貢献していきます。また地元コミュニティとも連携し、より地域に根差したスタートアップエコシステムの共生を図っていきます」
施設について
施設は横須賀の海と丘陵に囲まれたロケーションを活かした、開放感あふれるオーシャンビューのカァンファレンスルーム「Dragon Gate AKIYA」。5室の滞在スペースなど、スタートアップスタジオやハッカソン、ピッチイベント等に活用して貰える機能を備えている。
画像出典:株式会社デジタルガレージ
画像出典:株式会社デジタルガレージ
また、オープニングイベントではテープカットに登壇された来賓の方々からも熱い期待が寄せられた。 画像出典:湘南人
小泉進次郎様(衆議院議員)
「これから横須賀から生まれてくるものを想像するだけでわくわくしています。生まれ育った地元がサンフランシスコ、ロンドン、渋谷、そして秋谷(横須賀)と(世界中のスタートアップを繋ぐインキュベーションハブのひとつになったことが)横須賀市民のひとりとして本当にうれしい。世界経済を牽引しているのはスタートアップ。日本でも経済成長を牽引するのはスタートアップ。そうなっていくように政策で支援していきたい。横須賀から多くのイノベーションが生まれてくることを期待しています」
上地克明様(横須賀市長)
「横須賀にまた新たな先進的な拠点が誕生し、大変嬉しく思っています。ここからは、美しい相模湾や富士山の絶景を望む、大パノラマが広がっています。この素晴らしい環境に刺激され、訪れる方々には沢山のアイデアが、次々と湧いてくることでしょう。この施設から社会にイノベーションを起こす多くのスタートアップが、世界に羽ばたいていくことを期待してやみません」
坂本龍一ネットワークスタジオ構想
そんな「DG CAMP AKIYA Yokosuka City」に併設されることが発表されたのが、デジタルガレージが公私ともに長年の交流を深めてきた坂本龍一氏の遺志を継いだ「アーティスト・イン・レジデンススタジオ」。
アーティストたちは、坂本龍一氏が生前に愛用していた楽器や音楽機材を活用できるとともに、滞在しながら作品制作を行い、その過程を通じて技術や感性を磨くことができる。
東京の拠点都市となる渋谷区とともに、音楽と環境保護の融合を追求し、創造と共感の輪を広げていく新たな拠点となることを目指していくという。
林郁様(デジタルガレージ 代表取締役 兼 社長執行役員グループCEO )
「ご遺族からのご相談を受け、坂本さんの楽器を次世代に伝える橋渡しの役を仰せつかり大変光栄です。このスタジオ構想を通して、坂本さんの「音」と「心」をグローバルな次なる世代につなげ、このプロジェクトで坂本さんと共振する新たな才能が生まれることを楽しみにしています」
伊藤 穰一様(デジタルガレージ 取締役 兼 専務執行役員Chief Architect 共同創業者)
「坂本龍一さんが、「若い人たちに本物のいい音楽を伝えたい」と話していたことを思い出します。音楽活動を越えて社会を良くするために働きかけてきた坂本龍一さんの思いやスピリットが、このスタジオを活用するアーティストやエンジニアにもインスピレーションを与え続けることを願ってやみません」
長谷部健様(渋谷区長)
「デジタルガレージとは、すでに渋谷未来デザインとのプロジェクトをはじめ、様々な協力をしていただいています。今回の「DG CAMP AKIYA Yokosuka City」の「坂本龍一ネットワークスタジオ構想」を受け、渋谷区としては来年2月をめどに、共同プロジェクトの発表を検討しています。最新テクノロジーをベースとした通信ネットワークやDAOを活用し、『国内外のスタジオとの連携』や「トリビュートコンサートやソフトの配信」等の企画をデジタルガレージと連携していけたらと考えています。様々なステークホルダーと連携しながら、中長期的な視点で渋谷から坂本龍一さんの哲学を次世代に伝えていくことを期待しています」
また、坂本龍一氏のご遺族からのコメントも併せて紹介された。
坂本 龍一氏のご遺族様のコメント
「坂本龍一が亡くなり、彼の音楽制作を支えた楽器や機材が数多く残されました。ヴィンテージ・シンセサイザーや、坂本が「僕の手のExtension」と呼んだピアノ、それらの音を集音した真空管のマイクロフォン、そして新旧の機材たち。これらを散逸させることなく、想像の源として新たな生命を与えたい。坂本が親しくさせていただいたデジタルガレージ 林郁さんが「スタジオを作りましょう」と言ってくださいました。坂本の楽器や機材のCASAが秋谷に、東京にできることになります。そこから世界へとつながり、たくさんの新たな才能が生まれることを期待しています」
世界中のスタートアップをつなぐ、新たなインキュベーションハブとして
そんなセレモニーの後に開催されたのがデジタルガレージの取締役であり、千葉工業大学の学長も務める伊藤穣一氏による次世代AIやグローバルインキュベーションに関する特別講義。
そして、デジタルガレージが実施してきた世界にはばたくスタートアップの育成・投資プログラムOpen Network Labの卒業生海野弘成氏(Qiita株式会社 創業者/onlab4期卒業生)とのトークセッション。
また、イベント参加者には生成AIによって秋谷の海が描かれたマウスパッドがお土産として配布された。
画像出典:湘南人
「DG CAMP AKIYA Yokosuka City」
自然と共生するこの場所から、どんなイノベーションが生まれていくのだろう。
そして、どんな音楽が生み出されていくのだろう。
ここでの創造が、海を越えて世界と繋がり、地球の未来を創っていくことが実感できるオープニングだった。
画像出典:湘南人
施設概要
名称:DG CAMP AKIYA Yokosuka City
住所:神奈川県横須賀市秋谷4238-1
アクセス:JR横須賀線 逗子駅 / 京浜急行逗子線 新逗子駅 バス20分
設備:カンファレンスルーム、客室、ケータリング完備