【小田原 ショップレポ】加藤兵太郎商店-江戸時代から続く伝統の味。「いいちみそ」の蔵元直売所を訪問
小田原にゆかりのある方には馴染み深いお味噌「いいちみそ」。
最近では湘南エリアや都内でも取り扱うお店が増えており、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
「いいちみそ」を製造している加藤兵太郎商店は、1850年から続く、西湘唯一の味噌蔵です。
今回は、小田原市扇町にある蔵元の直売所へと伺いました。
お好みで選べる8種類の「いいちみそ」
入り口の暖簾をくぐり店内に入ると、たくさんのお味噌が並びます。
「いいちみそ」は全部で8種類。
人によって好みはそれぞれだといいます。
実際に味わっていただくのが確実ですが、味の分布図も掲示されていますので、初めての方は参考にしてみてください。
いくつか種類を試してみたい場合には、量り売りがオススメです。木樽からお好みの量を計ってもらい、購入することができます。
いつも近所のスーパーで「白みそ」を購入している筆者。
別のお味噌にも挑戦してみたく、「糀つぶ」と「つづくみそ」をそれぞれ300gずつ購入させていただきました。
自宅から入れ物を持参しましたが、お持ちでなければ袋に入れてもらえます。
今回選んだ2種類はどちらも粒感があるお味噌ですが、見た目はもちろん、味や風味が全く異なります。
糀つぶは、やさしい甘みがふわっと広がり、お味噌汁にすると子どもに大好評でした。
つづくみそは野菜スティックを添えてそのまま味噌ディップに。独特の風味がクセになり、味噌も野菜もあっという間になくなってしまいました。
袋詰め商品をご希望でしたら、1kg・500g・200gが販売されています。
スーパーではあまり見かけない調理味噌が揃っているのも直売所だからこそ。
贈答用としてお味噌のセットも人気だそう。発送される場合は店内で手続き可能です。
コラボ商品や調味料も販売
直売所にはお味噌のみならず、味噌を使った製品や、お味噌汁に欠かせない調味料も取り揃えられています。
お椀や保存容器などもあり、自宅にないものがあれば一緒に購入できるのがうれしいです。
今回、気になっていた味噌ジェラートも一緒に購入しました。
クリーミーで甘じょっぱいジェラートは、味噌の風味が口いっぱいに感じられます。暑い夏にぴったりの美味しさ!
ちなみに、ジェラートの真ん中にあるお味噌とジェラートを一緒に食べると、より一層奥深い味を楽しめます。
店頭に並ぶコラボ商品のみならず、「いいちみそ」は飲食店や旅館などでも広く使われています。
「いいちみそを使用」と書いてある商品を街中で見かけることも多いので、ぜひ探してみてください。
昔ながらの味噌づくり
今回特別に、お隣の味噌蔵の中も見学させていただきました。
味噌の原料は、大豆・米こうじ、そして水と塩です。
大豆はこの大きな釜を使って、圧力で蒸していきます。大豆の旨味を最大限引き出すために継承されてきた方法です。
こちらは米こうじ作りの現場。
段差を設けて樽が設置され、米を「洗う→蒸す→冷ます」という工程が順に行われます。
熱をとった米は麹菌と合わせ、製麹機で発酵させていきます。
こうして、それぞれ仕込んだ原料を混ぜ合わせた”味噌のもと”は、木桶で醸造していきます。
ステンレスのタンクが主流となり、木桶を使う味噌蔵は今では珍しいのだそう。
代々受け継いだ「いいちみそ」の味を生み出すため、この木桶の製法を続けていらっしゃいます。
基本的に白い味噌は熟成期間が短く、色が濃いほど長いのだそうです。
自宅でも、味噌を長い期間置いておくと、赤みそのように色が変化していきます。これは味噌の熟成が進んだしるし。
元の味噌とは風味が変わっていきますが、それも含めてぜひ変化を楽しんでみてください。
老舗味噌蔵の新たな取り組み
今回取材でお話しを伺ったのは、加藤兵太郎商店の7代目・加藤篤さん。
味噌の魅力を発信するため、講演会や味噌づくり教室といった活動も精力的に行っているクラフトマンです。
身体に良く、毎日美味しく食べることができるのが味噌の魅力。
難しいものと捉えず、シンプルに自分の好みや使い方を大切にしてほしいといいます。
同社は2023年に「小田原紙器工業株式会社」「株式会社なんかいファーム」と合流し、3社のグループ企業となりました。
グループで共同し、すべて自社生産の原料を使った味噌づくりにも着手しています。
170年以上続く味を守りながら、新たな挑戦に取り組む老舗味噌蔵「加藤兵太郎商店」の今後に注目です。
店舗情報
【加藤兵太郎商店】
■〒250-0001 神奈川県小田原市扇町5丁目15-6
■電話番号:0465-34-7188
■営業時間:10:00-17:00
■休業日:日曜・祝日
■駐車場あり