鎌倉長谷寺の本尊造立1300年に向け、新たに誕生する絆観音 が仕上げ段階へ
鎌倉長谷寺では、2021年から本尊造立1300年記念事業に向けての取り組みが行われてきた。その一環として立ち上げられたのが造立当初本尊復元プロジェクト「絆観音」である。
同プロジェクトで制作される「絆観音菩薩像」が、2024年の完成に向けいよいよ截金 (きりかね) による 仕上げを施す段階に入った。2023年5月から2024年5月まで1年間かけて仕上げをしていく。
「絆観音菩薩像」は、1300年前の奈良時代に長谷寺の本尊が造立されたと の伝承に鑑み、 造立当初の本尊の姿を学術的見地から想定復元したもの。
今回の仕上げ工程は、 古代の「檀像」の姿を技法・材料も含めて再現するもので、信仰対象としてはもちろん、 伝統的な 技術の継承の観点からも、より普遍的な価値を同僚に付与する試みとなるだろう。
企画・立案から制作・仕上げまで、 東京藝術大学で文化財保存・木彫 工芸 日本画・ 美術史などの各分野を専攻したチームが一貫して手がけてきた。 古典復興像としての荘厳さと、 現代に通じる美的感覚を兼ね備えた、 新しい時代にふさわしい観音像となることが期待される。
様々な不安を抱える現代社会において、未来に向けた希望の象徴として造立された「絆観音菩薩像」に思いを寄せ、新時代の観音像の誕生が楽しみだ。