【藤沢 イベントレポ】魚×野菜が同時に育つ「アクアガーデンラボ」が江ノ島駅に登場(前編)
「アクアポニックス」という言葉をご存じですか? 水を循環させながら魚の養殖と野菜栽培を同時に行う、一石二鳥(一水二菜?)の楽しいシステムです。
そのアクアポニックスを専門とする株式会社アクポニ(横浜市中区)と、われらが江ノ島電鉄株式会社が連携協定を締結!
江ノ島駅に第1号の施設「Aqua Garden Lab(アクアガーデンラボ)」を設置したと聞いて、オープニングセレモニーに行ってきました(2023年3月31日取材)。
Aqua Garden Lab(アクアガーデンラボ)とは?
こちらがアクアガーデンラボ(アクアポニックスの施設)です。江ノ電江ノ島駅 藤沢方面ホームの中ほどにある、駅名看板のちょうど裏手にあります。
敷地面積は約10平方メートルと、まだ小規模な施設です。江ノ電は今後生産物を増やしたり6次化に挑戦したりする実証実験を行い、アクアポニックスの事業可能性を検証していくとのこと。
水耕栽培のリーフレタスです。垂直なタワー型で、水が上から流れてくる仕組み。水力で回転して、満遍なく日光が当たるように工夫されています。狭い場所でもたくさん育てられますね。
下にあるのは水槽です。
こちらは、リーフレタスの下に設置した水槽で養殖されているお魚。まだ稚魚で、10cmぐらいです。かわいいですね。
ティラピア(イズミダイ)という白身魚なのですが、熱帯地方に生息する淡水魚です。水温40℃以上でも生きられるとか。
40℃はお風呂の水温とほぼ同じですから、かなり生命力が強そうです。
2つの水槽に、それぞれ11匹ずついます。
参考:ナイルティラピア(Oreochromis niloticus)|ZUKAN
アクアポニックスとは
アクアポニックスは水耕栽培(アクアカルチャー)と水産養殖(ハイドロポニックス)を掛け合わせた、循環型の生産施設です。
アクアカルチャーの"aqua"とハイドロポニックスの"ponics"を合わせて、アクアポニックス(Aquaponics)という名前になりました。
水槽で魚を養殖し、その水槽の水をろ過、魚の排せつ物を微生物で分解して野菜畑に回します。きれいになった水は再び水槽に戻され、循環していきます(上図)。
つまり、水を循環させながら上で野菜、下で魚を育てる。陸と川を模した、自然の縮図のような構造です。
アクポニ教育部の孫田賢佑氏は「養殖と栽培の両方をやるからといって作業量が2倍、3倍になることはありません。アクアポニックスは土づくりや換水の必要がないので、作業負担は比較的少ないです」と語ります。
画像提供:株式会社アクポニ
実際の作業は毎日の餌やりと、週1回程度の水質検査。アンモニア値等の水質検査4項目をスマートフォンのアプリに入力。
あとは月に1回、アクポニと定期打ち合わせをしながら生産管理を行っていきます。
アプリに入力されたデータはクラウド上で管理されているため、アクポニでも確認できます。問題があれば都度対応しているそうです。
小さい家庭用サイズもあります。魚は金魚などの観賞用でもOKで、部屋の中でもできます。お子さんと自然の循環を学んだり、食育に使ったりできるとのこと。
収穫作業
野菜収穫のデモンストレーション。江ノ島電鉄の露木取締役がリーフレタスを収穫しているところです。
リーフレタスはカップに入っていて、簡単に取り出せます。
リーフレタスの他に小松菜も収穫しました。試食したところ、味がしっかりしていて、みずみずしい。茎の部分をかむとシャキっとした感触がします。
えぐみがないので、生でもおいしく食べられました。
e-bike「KUROAD」登場! ~シェアサイクルでレストランへ配送実験
収穫した野菜を海沿いの人気レストラン「イルキャンティ・ビーチェ」へ配送します。
このカッコイイ自転車は、江ノ電が運営するシェアサイクル「SHONAN PEDAL(湘南ペダル)」の電動アシスト付自転車「KUROAD」です。
シェアサイクルでは日本初のe-Bikeで、ショッピングが楽しめるようにかごも付いています。フルに充電すると100キロメートル以上走れるそう。何と大磯から逗子マリーナまで行けてしまうとか。
いよいよ野菜をかごに積んで出発です。行ってらっしゃい!
<江ノ島電鉄株式会社取締役(経営管理部担当)露木健勝氏コメント>
このたび江ノ島駅でアクアガーデンラボを稼働させることができました。1人でも多くの人にアクアポニックスをまず知ってもらいたいと思い、皆さんがいつも見られる場所に施設を造りました。
施設の外からになりますが、ぜひ見ていただいて写真や動画をたくさん撮ってください。
この取り組みが広まって、藤沢・鎌倉にアクアポニックスがどこにでもあるような、そんな循環型社会になればいいなと思っています。
アクポニの濱田代表は、メールでコメントを寄せてくださいました。
<株式会社アクポニ 代表取締役 濱田 健吾氏コメント>
アクアポニックスは単なる生産手段ではなく「関わる人が嬉しくなる」「場づくりができる」ことが最大の魅力です。
地域の観光や地産地消、資源やエネルギーの効率的利用に組み入れることで、大きな価値を生み出します。
神奈川県藤沢市には弊社農園もありますので、地域活性化につながるよう、一緒に盛り上げていきたいと思います。
農場見学やアクアポニックスのスクールも開講していますので、ご興味があればぜひご参加ください。
まとめ
アクアポニックスは、家庭から大規模農場までさまざまな形態で農業ができる、汎用性の高いシステムです。
広い敷地がなくても、建物の屋上などでも始められます。収穫物を施設内で販売すれば、地産地消の成立です。
また、大規模に展開すれば、雇用創出や食糧不足の解消など将来起こり得る問題の解決につながる可能性もあります。
何より自然に優しく、面白いのが魅力的ですね。今後の展開が楽しみです。
本記事は前編・後編の2編です。
後編では、江ノ島電鉄株式会社取締役(経営管理部担当)露木健勝氏、株式会社アクポニ教育部 孫田賢佑氏へのインタビューをお届けします。
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【江ノ電江ノ島駅】
住所:〒251-0035藤沢市片瀬海岸1-4-7
アクセス
江ノ電 江ノ島駅 藤沢方面ホーム内
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