【藤沢 ショップレポ】フジサワ名店ビル-地元で愛される昭和レトロな商店街
藤沢駅前。まもなく60年を迎えるレトロなビル。
藤沢駅南口直結、大きな懸垂幕が迎えてくれるのが「フジサワ名店ビル」。1965年(昭和40年)にオープンして以来、藤沢市民の買い物の場として愛され続けるこのビルは間もなく60年を迎えます。
八百屋さん、お肉屋さん、お魚屋さん、お総菜屋さんをはじめ、本屋さん、雑貨屋さんや洋品店など、様々なお店が入っていて、ビル全体が商店街のようになっています。
なんでも揃う大きなスーパーも便利ですが、目的のものをさっと買える小さなお店が集まった名店ビルが好きで、筆者は日常的に買い物にきています。子どもが小さいときは店員さんがよく話しかけてくれたり、アットホームな雰囲気も好きなポイントです。
建て替えに伴い、いずれ取り壊されてしまうとのことで、名店ビルの社長、山田秀幸さんにお話を伺いました。
名店ビルができたのは昭和40年。開業時はレストランやおもちゃ売り場など、合わせて70店舗近くのテナントが入り、多くの人でにぎわっていたのだとか。今でも人気の魚屋さん、「魚つる」は開業時からずっと営業しているそう。いつも行列ができ、人気のあったうなぎ屋さんの「みのるうなぎや」も2024年の初めに閉店するまで、長く愛されていました。
2階から5階までを占める本屋の「有隣堂」は、横浜以外で初めて店舗を出したのが、この名店ビルなんだそう。
なんと開業時は屋上に観覧車があったそう!その時代を知らない筆者は聞いてるだけでワクワクします。名店ビルの2階の入り口に当時の観覧車を再現したジオラマの一部が飾ってあります。創業に携わった3人が「山」が付くお名前だったことから「ミヤマビル」とも呼ばれていて、山を3つ合わせたロゴマークが付いていました。
2基あるエレベーター。エレベーターガールが乗っていた時代があったんだそうです。山田さんも子どものころよく乗ったんだとか。その時代に乗ってみたかったです。
昇りしかないエスカレーター。こちらは当時銀座にあったビルを参考にし、あえて昇りしかつけていないんだそう。まずは上まで足を運んでもらい、ゆっくり店内を見ながら階段で降りてもらうのが狙いだったとか。
お話を伺っていると、名店ビルがオープンしたころの活気あふれる様子が想像できて、とっても楽しかったです。
迷路のような不思議なビル。昭和ならではのカオスさが魅力!
名店ビルの中を歩いていると下りのエスカレーターも見当たらないし、途中から違うビルに入っていたりして、迷路のようです。筆者も初めのころはどこにどのお店があるんだっけ??と迷ったことも。そのわけは...3つのビルが繋がっているからでした!
ほぼ同じ時期に建てられた「フジサワ名店ビル 」「ダイヤモンドビル」「ザ・プライムビル(CDビル)」。初めに名店ビルが建ち、その後ダイヤモンドビルが建った際に名店ビルの壁を壊して2つのビルをつなぎ、プライムビルが建った際にもまた壁を取ってつなげたそうです。どこからどこまでがどのビルか???ぜひ探してみてください!ちなみに有名な「古久家」さんは名店ビルではありません!
床を見るとわかるかも!左がダイヤモンドビル。右が名店ビル。
名店ビルのエレベーターを背に写真を撮ると、写真奥には「ダイヤモンド」の文字が。
真ん中の不思議な入口は中2階へ下りる階段です。調べたら、昔は吹き抜けだった部分が今は店舗になっているようです。
3つのビルが囲む中庭。ハゼの木がシンボルです。ここだけは市の所有地なんだそう。左の箱型の建物は、なんとテレビ。時間になるとシャッターが開き、テレビが映ります。
ここでしか出会えないお店
地下の食品街や、本屋さんを利用することが多いのですが、他にも魅力的なお店がたくさんある「フジサワ名店ビル」。全部ご紹介したいぐらいですが、今回は3店舗にお話を伺ってきました。
4階にある「かみこや」。こちらのお店は1977年(昭和52年)の七夕の日にオープンしたそう。和雑貨や千代紙など、季節を感じられるこだわりの雑貨たちが所狭しと並びます。
この日も秋を感じるディスプレイ。きれいな手ぬぐいが飾られていました。
通りがかるたびに、素敵な手ぬぐいが気になっていたので、この日、月の満ち欠けの模様のものを購入しました(税込み1,540円)。お店のように飾るのもいいですね。自宅用だけでなくギフトなどにもおすすめです。
3階にある「ジャック ラビッツ」。オーダースーツや紳士服を取り扱うお店です。スーツの他、シャツやシューズもオーダーできるそうです。名店ビルにオープンして37年だそう。
内装が渋くて素敵です。スーツを着る人も減っていますが、大事な1着を仕立ててみるのもいいですね。
2階に2023年からあるのが「善ミネラル」。天然石やアクセサリー、化石も取り扱っています。こちらは長谷駅前にもお店があるのですが、観光地の真ん中にあるのとは少し違った雰囲気です。
いろんな石があって、見ごたえも十分!またお店の方がいつも優しく石について色々詳しく教えてくれるので、小学生の息子がお気に入りのお店です。
この日も人気の光る石について、実際光るところを見せてくださいました。
「かみこや」も、「ジャック ラビッツ」も、名店ビルにしかないお店です。「善ミネラル」もここではゆっくり見ることができます。会話も楽しみながら、ここでしか味わえない雰囲気を感じてほしいです。
名店ビル名物「懸垂幕」
駅周辺のあらゆるところから目に入ってくるのが、ビルに掲げられた懸垂幕。2020年のコロナ禍から現在のスタイルの懸垂幕を始めたそう。ついつい読んでしまうキャッチフレーズです。
現在は2024年9月に初めて発行された「名店シンブン」の表紙を飾るイラストが懸垂幕になっています。タモリ俱楽部の空耳アワーで有名な安齋肇さんによるイラストです。以前藤沢に住んでいたことから、第1号の表紙に選ばれました。
「名店シンブン」は名店ビルで働く方の紹介や、名店ビルのトリビアなんかも載っています。ビルの入り口に置かれているので、ぜひ手に取ってほしいです。次の発行は12月ごろ。全部で10号発刊予定だそう。
これからの名店ビル
現在の予定では2027年度頃までは営業予定の「名店ビル」。長く藤沢市民に愛されている商店街のようなビルですが、建て替えてもこの商店街のような雰囲気を残したいと社長の山田さんはお話しされていました。
「どこにでもあるようなビルにはしたくない」ともおっしゃっていて、見た目にも、藤沢にしかないビルを目指しているとのこと。
これから駅の改良工事が進み、南口のロータリーも整備されるそう。名店ビルも新しくなる頃はすっかり藤沢駅周辺も変わっているのかもしれません。そんな中でもまた愛されるビルになることを願いつつ、楽しみに待ちたいと思います。
まだ丸3年は現在の姿で営業しているので、気になるお店にはどんどん訪れてみてほしいです。どのお店も温かく迎えてくれること間違いなしです。
店舗情報
【フジサワ名店ビル】
■住所:神奈川県藤沢市南藤沢2-1-1
■営業時間:10:00~20:00
■TEL:0466-23-0111(代)
フリーダイヤル:0120-111-391