【横須賀 体験スポット】KOA OUTFITTERS-いつもの海が違ってみえる
湘南で暮らしていると海があるのが当たり前のようになっていることに気づく。朝採れのしらすも、歯ごたえのある刺身や海藻などの新鮮な海の恵みも、当たり前の日常になっていることに。
日常が続くと人は非日常を求める。凪のような日々はかけがえのないものだけど、刺激が欲しくなる日もある。そんなときにオススメしたいのが、いつも見ている海でのマリンスポーツだ。
葉山御用邸から134号線を南に1㎞ほど。久留和海岸の入口にある「KOA OUTFITTTESRS」
三浦半島の逗子・葉山・横須賀を中心にカヌー、シーカヤック、SUP(Stand Up Paddle)の体験・スクール・販売・艇庫管理を行っているマリンレジャー施設だ。
パドルを持って海へ行こう
創業は30年前。北米から入ってきたばかりのシーカヤックのスクールとしてスタートした。創業者の山口浩也さんは横須賀生まれ。でも、初めてパドルを握ったのは海とは無縁の長野県だったそうだ。
「23歳から長野県の野尻湖で8年暮らしていました。冬はスキー、夏は湖でウインドサーフィン。川遊びとして出会ったのがリバーカヤックでした」
ウインドサーフィンのボード上で写真撮影をするためにリバーカヤックのパドルを使い始めたのが、その後ハワイで誕生することになる"SUPとの出会いだったという。
小学生でも大丈夫
この日は8歳の娘とSUPの半日のプライベートレッスンに参加させて頂いた(料金は大人1人+子供1人で¥19400)。ボードやパドルだけでなく、ウエットスーツ(レンタル料¥1000)やマリンブーツ(レンタル料¥500)、ライフジャケット(無料)も一式揃っているので初心者でも気軽に、そして安心安全にチャレンジすることができる。
まずは久留和の浜に用意されていたボードの横でインストラクターの"あだっち"こと安達さんによるパドルの持ち方と漕ぎ方の講習をしっかりと。
11月の朝だというのに陽射しのおかげで気温は23℃。空は澄み渡り、富士山や伊豆半島まで見渡せる。風もなく、穏やかに凪ぐ海はまるで鏡面のよう。水底まで見渡せるくらい透明度が高く、黒鯛や小魚の魚影が岸辺からも確認できるほどだった。
「こんなにコンディションが良いのはビギナーズラックですよ」
安達さんの言葉で緊張していた娘が前向きな気持ちになっていくのが伝わってくる。
人は目を向けた方に進んでいく
最初は中腰でボードの上に乗って漕ぎ出していく。水の上をアメンボみたいに滑りながらゆっくりと岸を離れていく。
「遠くを見るのがコツです」
自転車や車、スキーなどと同じように目線は手元ではなく遠くへ。そして行きたい方向に目を向ける。それだけで体が勝手についていくのだという。
「人は目線を向けた方に進んでいくものなんです」
海の上で人生の大切なことを教わっているような気持ちになる。
ボードに乗っているとはいえ、そこは不安定な水の上。それでも体幹で無意識にバランスを保とうとするのが人間なんだとか。
「慣れて来たら踵をボードにしっかりつけて、掴まり立ちだと思って立ち上がって下さい」
パドルを海に突き立てたままゆっくりと立ち上がる。大事なのは意識し過ぎないこと。いつも地面の上で無意識にやっているのと同じように立ち上がること。意識し過ぎると重心が前や後ろに傾いて海に落ちてしまうそうだ。ちなみに筆者は2回落ちた。
波がなくてもサーファー気分
『波がなくてもサーファー気分』
山口さんが以前、鎌倉・材木座のサーフショップ「OKUDA STYLE SURFING」で教わったというSUPのキャッチフレーズだ。KOA OUTFITTERSでも2007年からSUPスクールを開始。マリンスポーツの裾野は大きく広がったという。
「見ていておもしろそうだなと思ったらやってみた方がいいです」と山口さん。
「でも、安全と楽しさを担保する為にも最初はスクールがいいと思います」
コロナ禍に通販で道具を揃えて自己流で始めた人も多い一方、漂流や死亡事故も増えているという。
「いつもそばにある海を嫌いになって欲しくない」
それはいつも見ている海に初めてSUPで出てみることにした娘に対しても同じだった。彼女はまだ満足に泳げない。ライフジャケットを着ているとはいえ、一度ボードから落ちたら海が嫌いになってしまうかもしれないという不安があった。
けれど、そんな心配も余所に娘はボードの上でうれしそうに叫んでいた。
「パパ、立てたよ!」
あまりに呆気なく立てたことに愕いていると「赤ちゃんと同じです」と安達さんが教えてくれた。最初は這い這い。次に掴まり立ち。そして立ち上がる。教えなくてもできます。感覚的なものです、と。
生まれてはじめての海上散歩。海の上を一寸法師みたいに進んでいく娘の表情は感動と喜びと達成感に満ち溢れていた。
三浦半島は屋根のない博物館
少し沖に出たところでボードをUターンさせる。浜に向かって戻っていく。目線の先に134号線沿いに立ち並ぶ家々が見える。背後に聳える大楠山が見える。
「なんだか町が違ってみえるね」
娘を連れて来た一番の理由は見慣れた日常が海の側からだと違って見えることを伝えたてあげたかったからだ。視点を変えることで日常は非日常になる。当たり前の日常にも発見や感動はたくさんある。そのことを言葉ではなく身体で感じられる機会を作ってあげたかった。
「KOA OUTFITTTESRS」
「コア/KOA」とはハワイ固有のアカシア。神が宿るとも言われている聖なる木。ハワイ語では「勇気」を意味するという。
ほんの少しの勇気を出して、自然とともに遊ぶ。遊びを通じて海を感じ、自然を大切にする心を養って貰えればと山口さんは語る。海の上を散歩したときや、シュノーケリングで潜ったときにしか見ることのできない海の景色がある、と。
「三浦半島は屋根のない博物館ですからね」
さあ、パドルを持って海へ行こう。
週末は「波の音」を聞きながら
週末は施設の二階で「波音(なもと)」という食堂も営まれています。
「昔この辺では"波の音"と書いて"なもと"と呼んでいたと民俗学の先生に教えて頂いたという記憶があるんですが…」
こちらはレジャー施設の利用者でなくとも利用可能。メニューはしらすや蛸など地元の海の幸にこだわった「くるわ丼(¥1400)」や「アジフライ定食(¥1300)」など定食が中心。海の見えるテラスもオススメですよ。
店舗紹介
【KOA OUTFITTERS】
■神奈川県横須賀市秋谷4296番地5
■電話番号 046-858-0180(スクールの予約は前日の17時まで)
■営業時間 9時30分~17時30分
食堂「波音」は週末のみ11時30分から16時00分営業
■休業日 サイトのスケジュールをご確認下さい