【鎌倉 グルメレポ】MOKICHI KAMAKURA - 大仏さまに見守られ、息を吹き返した歴史的建造物。90年近い歴史を引き継ぐ、感動レストラン
息を吹き返し、生まれ変わった戦前の希少な遺構
江ノ電 長谷駅から大仏トンネル方面へ歩くと、鎌倉大仏が鎮座する鎌倉大仏殿高徳院があります。
その先の、大仏トンネルの手前に現れる歴史を感じさせる建物が、2022年12月オープンしたMOKICHI KAMAKURAです。
こちらは昭和初期に建てられた、スクラッチタイルが特徴的な旧 神奈川県鎌倉加圧ポンプ所です。
戦前の希少な遺構として、鎌倉市景観重要建築物等 指定第34号となっており、取り壊されることはありませんでしたが、長い間廃墟のようになっていました。
県も市も買取や再投資を断念するほど手に追えない建物でしたが、ご縁により熊澤酒造が手がけることとなり、その後6年の歳月を経て、廃墟のようだった建物に灯りと笑い声が戻りました。
建物に入ると、スタッフの方が笑顔で出迎えてくれました。
高い天井と白い壁の広々とした空間に、アンティークの置物がしっくりと馴染んでいます。
今回は【MOKICHIコース】5,000円(税込)を堪能させて頂いたので、その品々をご紹介します。
テーブル席に着くと、お皿に乗った乾いたおしぼりにベルガモットの香りのアロマウォーターが注がれました。
ベルガモットは、アールグレー紅茶の香り付けに使われる柑橘の精油です。
おしぼりから、ワクワクが始まりました。
次々とお料理が運び出される、活気のあるオープンキッチンです。
コース料理の一品目は、Plant。
プランターをイメージし、ハーブを使用したビーガン料理です。
枝豆のフムスの上にオリーブの土をあしらい、ベビーリーフが植えられているかのように見えます。
こちらはMOKICHI KAMAKURAスペシャリテで、シェフが奥様の庭仕事を見て思いついたお料理だそうです。
スポイトに入った、パッションフルーツとローズヒップのドレッシングをかけて頂きます。
「ドレッシングで、お皿に絵を描くのも楽しいですよ」とスタッフの方が教えてくれました。
二品目は、蛸とトマト。
希少な桃太郎ゴールドというトマトを使用した鮮やかな黄色のガスパチョの上に、蛸とマイクロトマト、モッツァレラチーズと茄子が盛られています。
涼しげなジュレが素材を引き立てています。
そして、モキチのパンとスープ。
木のお皿の上に、大仏さまを形どった豆乳バターが、なんとも鎌倉らしいです。
パンアラビエールとバケットを、冷製コーンスープと一緒に頂きます。
スープに浮いているのは、香ばしいとうもろこしのガレット。
パンのおかわりができます。
コース料理は盛りだくさんで結構なヴォリュームがありますが、美味しいパンのおかわり自由は嬉しいですね。
魚料理は、穴子 青海苔。
青海苔の衣で揚げた穴子を、トマトリゾットに添えた洋風の穴子丼です。
茶色いソースは麦汁バルサミコ、お皿に描かれたサルサヴェルデ(緑のソース)をお好みで絡めて頂きます。
お肉料理は、湘南豚 マンゴー。
「しょうなんとん」と読むそうです。
ローズマリーで低温調理した湘南豚のフィレ肉、甘麹とマスカルポーネのチーズクリームディップ、マンゴーソース添えです。
青パパイヤラペを乗せた、湘南らしいトロピカルな一品。
お肉の柔らかさに驚きました。
さて、店内は天井が高く広々とした空間が広がっています。
昭和のポンプ場の名残りを残しながら、古さと新しさが絶妙に調和していました。
コースメニューの表記はとてもシンプルで、次にどんなお料理がくるのか想像力を掻き立てられます。
「麦」とは、どんなお料理だと思いますか?
麦。
ソフトシェルシュリンプの乗ったアメリケーヌソースの生パスタでした。
太くてもちもちしたパスタが、濃厚なエビの香りを口一杯に運んでくれます。
スイーツは、手作り甘麹のパンナコッタミント。
酵素たっぷりの甘麹と黄麹を使用したパンナコッタに、果汁100%のメロンのグラニテ(氷菓子)、その上にパリパリ食感の春巻きローストとフルーツのマチェドニアを乗せ、最後にさわやかなミント泡で仕上げた、体に優しく爽やかなスイーツです。
最後に、ハーブティ。
リラックス、ビューティ、リフレッシュ、ヘルシー、4種類のブレンドがあります。
効能や香り、お好きなハーブから選ぶことができます。
コース料理のスタートから最後まで、わくわくしながらお腹がいっぱいになりました。
お料理の内容は変わっていくそうなので、どんなお料理に出会えるかどうぞお楽しみに!
さて、お店の奥に見える、90年前に作られたという階段は、ひときわ趣があります。
乃木坂46 『僕は僕を好きになる』のロケ地に選ばれたそうですよ。
階段を上がると、一階を見渡すことができます。
二階は、かつて体育館だった時代には畳の部屋だったそうです。
ゆったりとした席があり、ランチにも利用されています。
MOKICHI KAMAKURAの空間作りの際に、材木座にあった橋爪邸という昭和初期の住宅を移築する計画があったそうです。
再生は叶わなかったものの、ガラス戸や部材が間仕切りやキッチンなどに組み込まれ、使い道のなかった角材はテーブルの足に加工され、形を変えてこの空間の中で歴史を刻み続けています。
誰もが諦めた廃墟をここまで再生するには、とてつもない時間と労力、根気が必要だったことでしょう。
90年の歴史を経て、新たな歴史を刻み始めた感動レストランへ、ぜひともお出かけください。
店舗紹介
【MOKICHI KAMAKURA】
■住所:〒248-0016 神奈川県鎌倉市長谷4丁目6−12
■電話番号:0467-33-4614
■営業時間:ランチ11:30~14:30 カフェ14:30~16:00(15:30 L.O)ディナー17:30~21:00(20:00 L.O)
※電話での予約・お問合わせ 9:30~11:00 16:00〜
■定休日:火曜日
■駐車場:あり(割引が適用されます)
MOKICHI KAMAKURAご利用の方:平日 最初の60分200円 以降300円 土日祝日最初の60分300円 以降400円 一般の方:30分500円
アクセス
江ノ島電鉄 長谷駅から 徒歩 11分
江ノ電バス 大仏坂バス停から 徒歩1分
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