藤沢出身の世界的ジャズ・ヴァイオリニスト寺井尚子さんが語る音楽への情熱-9月14日小田原ライブの魅力
ジャズ・ヴァイオリニスト寺井尚子さん
藤沢出身で、国内外で活躍する世界的ジャズ・ヴァイオリニスト、寺井尚子さん。ニューヨークでのレコーディングをきっかけに、その情熱的で独自性溢れる演奏スタイルが大きな注目を集めました。アルバムはジャズ・アルバムとして異例のセールスを記録し、文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞をはじめとする数々の賞を受賞。音楽だけでなく、テレビやラジオなど幅広い活動を展開し、多くのファンを魅了し続けています。
今回のインタビューでは、寺井さんの音楽への情熱やインスピレーション、そして9月14日に小田原で開催されるライブへの意気込みについて、熱く語っていただきました。
クラシック音楽との出会いとヴァイオリニストとしての始まり
――寺井さんとヴァイオリンの出会いついて、お話いただけますか?
4歳から本格的にクラシックのヴァイオリンのレッスンを受け始めました。6歳で、演奏家になりたい人が通う先生のもとで学び始め、ヴァイオリニストになりたいと思っていました。練習しないとみてくれない先生だったので、生徒さんみんな必死で、そういう環境にあったから頑張ろうと思えました。
―― 4歳でヴァイオリンを手に取ったきっかけはありますか?
母の胎教がきっかけで、お腹にいた時から音楽が身近にありました。物心つく頃には家のステレオからクラシックのヴァイオリンコンチェルトが流れ、自然と音楽に親しんでいました。3歳の時には、弾くマネをしていたらしいです。
ジャズとの出会いと転機
―― 4歳でクラシックを始めてからどのようにしてジャズに転向したのですか?
14歳の時に腱鞘炎を患い、クラシックのレッスンを一時中断したことがきっかけで、自分で音楽を買って聴くようになりました。その中で出会ったピアノトリオ(ピアノ、ベース、ドラムスで編成)の演奏を聴いてジャズに魅了されました。
―― ジャズをここまで続けられた理由はありますか?
それはジャズの醍醐味であるアドリブと呼ばれる即興に自由さを感じたからです。14歳までは譜面に書かれていることをどのように表現するか、が問われました。ジャズも譜面はありますが、アドリブの為にコードや理論や必要なことを勉強しました。表現したいという気持ちがあるのであとはもうやっていくしかないわけです。ですから、今改めて思い返してみると、ずっと続けてきましたね。でも、その時はやっていくしかないと必死だったという感じです。
音楽キャリアの歩みと挑戦
―― 音楽活動を通じての歩みについて教えてください。
自分の描いたビジョンに向かっているうちに時間が進んでいた、ですから続けているという感覚がないですね。振り返ると「ずっとやってきたな」と感じるものの、継続というよりは「ビジョンに向かうために進んできた」という感覚が強いです。
―― 具体的にビジョンとは、どのようなものですか?
最初に描いたビジョンは、ヴァイオリン、ピアノ、ベース、ドラムスで編成した演奏スタイルを自分自身でリードし、独自の世界観を創り上げることでした。このイメージに向かい、その時必要なことに取り組み、課題を一つ一つクリアしながら進んできました。その過程でビジョン自体も成長し、どんどん大きくなっていくので、追求は終わりがなく、今もなお続いています。
―― 疲れたりすることはないでしょうか?
疲れることは多々あります。でも、自分の音楽の世界を創り上げていくということは、苦しみを感じるというより、純粋に「こうしたい」という気持ちに支えられています。音楽を奏でること自体が生きる中心で、その結果として音楽活動が続いている感じです。
―― お話聞いていると、音楽そのものが好きなんだな、それ自体からエネルギーが生まれている感じました。
常に、音楽からエネルギーをもらっていますし、音楽を奏でることでエネルギーを生み出していく、そんな感じです。全て音楽ありきですね。
―― 音楽活動を通じて、寺井さんが大切にしていることを教えてください。
音楽を通して、自分の内にあるビジョンを表現することが私の使命だと感じています。ジャズの自由さ、特にアドリブには無限の可能性があり、それを追求することで新しい表現が生まれます。演奏する際には、その瞬間にしか生まれないものを大切にしています。そのために、常に自分を新鮮な状態に保つことが重要です。健康管理やリフレッシュ、心身のバランスを整えることが、良い音楽を奏でるために欠かせないと考えています。
ライブパフォーマンスについて
―― 各地でライブを行い、どのように感じていますか?
私のライブは、躍動感とドラマティックさが特徴です。ヴァイオリンを持ちながらステップを踏むパフォーマンスや、ピアノ、ベース、ドラムといったリズミックな楽器を取り入れた演奏は、会場のお客さんのエネルギーが融合する、会場が一つになる瞬間があります。
―― ジャズが難しいと感じる人は、どのようにして聴けば良いですか?
ジャズに限らず、音楽を楽しむ上で一番大切なのは、心地よさを感じるかどうかだと思います。ジャンルにとらわれず、自分にとって心地よく感じる音楽を楽しんでもらえれば、それがその人にとっての“良い音楽”だと考えています。特に生の演奏は波動が直接伝わるので、一度体験してもらうとその魅力がわかるはずです。
小田原への想い
―― 寺井さんにとって、今回ライブを行う小田原とのつながりはどのようなものでしょうか?
今でもすごく海を見ると心が落ち着くというか、音とかすごく好きですね。海を見るとやはり癒されますね。引き寄せられます。また、実は、小田原といえば私は“ういろう”を買う為に度々訪れています。伝説的なお薬があるんですよ。ご存じですか?
―― 申し訳ありません。存じあげません。
市川團十郎さんが声が出なくなったときに使ったとされる銀色の粒のお薬なんです。そのお薬、実は小田原にしか売っていなくて、しかも一人一箱しか手に入らないんです。いろいろな病気に効くとされて、旅が多い私にとっては、お守りのような存在ですね。
パンデミックの影響と新たなスタート
―― パンデミックの影響をどのように感じましたか?
パンデミックで活動が止まったことで、初めて今まで当たり前だったことが当たり前じゃない、音楽ができる喜びを感じることが本当に大事だと思いました。だから大変でしたけど、いろんなことを感じて悪くないこともあったという感覚があります。パンデミック後、6月に新しいアルバムをリリースしました。音楽をできる喜びを再認識して今歩いているわけで、喜びでしかないですね。
そんなパンデミック後の寺井尚子さんの喜びと情熱が詰まった今回のライブ、ぜひ足を運んで生でライブを体感してみてはいかがでしょうか。
チケット好評発売中!
小田原三の丸ホール WEBチケット予約 ※事前に会員登録(無料)が必要です。
施設情報
【小田原三の丸ホール】
・住所 〒250-0012 神奈川県小田原市本町1丁目7-50
・開館時間 9:00~21:00
・総合案内 9:00~20:00
・舞台相談窓口 9:00~17:00
・休館日 第1月曜日・第3月曜日(祝日の場合は翌日以降の最初の平日)年末年始(12月29日~1月3日)
・電話番号 0465-20-4152(9:00〜20:00)