【鎌倉 イベントレポ】劇団小林組 第11回アトリエ公演『POPPY〜その花畑出口無し〜』(鑑賞レポ) – 現実と幻想の狭間に入り込む
劇団小林組 第11回アトリエ公演『POPPY〜その花畑出口無し〜』に行って来ましたので、レポートします。
場所は、鎌倉アクターズワークショップ。湘南モノレール富士見町駅から徒歩3分のところにあります。
公演の時には、外に人だかりが出来るのですぐにわかります。
劇団小林組とは
メンバーは、小林敬、菅原隆、加藤俊輔、岡ゆかり、桑原すっこの5人。
湘南モノレール富士見町駅にある鎌倉アクターズワークショップ 富士見スタジオを活動拠点とし、定期公演の他に、一般向けワークショップ、映像制作、各種演劇賞戯曲賞への応募、TVや外部出演なども積極的に行っている。
劇団小林組については、こちらもご覧下さい。
【鎌倉 イベントレポ】劇団小林組 第11回アトリエ公演「POPPY〜その花畑出口無し〜」 – 舞台に掛けた熱き者達の物語 | 湘南人 (shonanjin.com)
舞台風景
ではさっそく劇場から、演劇の臨場感をたっぷりお伝えして行きたいと思います。
客席は最大でも60人の小さな劇場です。
劇場の中は真っ暗。足下も良くわからないくらい真っ暗です。
その暗がりに、浮かび上がるようにステージがあります。
ステージは、ほんのすぐ目の前。舞台と客席の境界もありません。
ステージには、ポツリと木のイスが置かれています。
その背景には線路の映像。列車でどこかに向かう様なシーンが映し出されています。
どこか旅にでも出るのでしょうか。
これから始まる物語をいろいろと想像します。
実は、これからどんな物語が始まるのか何も知りません。
わかっているのは、パンフレットの説明だけなのですから。
「POPPY〜その花畑出口無し〜」
いつの世ともしれぬ幻のニッポン。
最果ての地、ミミジロ駅の停車場でひとりの男が盲目の老婆と出会う。
男はまだ気付いていない。ここが、彼の旅路の終着点であることを......
劇団小林組 Facebookより引用
客席もすでに満席となりました。
みんな息を殺して開演を待ちます。このドキドキ感も、演劇の面白いところなのですよね。
いよいよ開演です。
「POPPY〜その花畑出口無し〜」開演です
駅のホームで、男が列車を待っています。
どこか田舎の駅のようです。駅長もいない無人駅のような静けさ。
そこに現れる盲目の老婆。
老婆もどこか遠い場所から帰ってきた様です。
老婆は、話をしているうちに、この男のことを幼い頃にこの村でお世話をしていた有力者の息子と勘違いします。
旦那様のこと、お坊ちゃんのこと、自分のお母さんのこと、子供の頃のこの村の風景を懐かしそうに話始めます。男は人違いだと否定しますが、聞き入れて貰えません。
村の若者たちも現れます。
どことなく村の閉塞感を感じさせながらも、楽しそうな若者たち。
将来を夢みる若者たち。
そして怒れる男、ヤジローが現れます。
ヤジローも、この男を村で育ったお坊ちゃんと思い込み、話はさらにややこしい方向へ向かいます。
場所は変わり、ヤジローの家。
ヤジローの話を中心に、村で何が起こったのか、有力者はどこに行ったのか、そして若者たちとのの関係などが明らかになっていきます。
そして老婆もまた、これまでのつらい人生を語り、昔この村で過ごしていた頃と今が繋がっていきます。
過去のしがらみから村を離れられない男、ヤジロー。
外での苦しみや悲しみ、これまでの人生からの解放を求め、また村に戻って来た盲目の老婆。
まだ見ぬ外の世界を夢見てもがく、若者たち。
そして、この村に関わってしまった男。
彼らの運命はいかに。
これ以上は、話せません!
『POPPY〜その花畑出口無し〜』制作秘話
脚本・演出もされている加藤俊輔さんに、今回の演劇についてお話を伺いました。
「現実と幻想の狭間の空間を作りたいなといつも思っています。異世界に紛れ込んだ観客がいつの間にかその世界の住人になり、共犯者であり傍観者であるという。少しでもそんな感覚を味わって頂けたら嬉しいです。」
十分味わいました。
共犯者になりました。傍観者になりました。一緒にもがきました。
「 『POPPY』という作品では、役者が役を演じるというより、演者の中にある役柄そのものの性格を浮き彫りにしたかなと思います。普段一切凶暴性のない菅原隆さんが徐々にその狂気性を覗かせ始めた時、えも言われぬ恐怖を感じました。
それぞれが潜めていた役者の奥底にあるもの、それに観客は釘付けになるのだと思います。
それには、舞台上では何をしても安心であるという信頼関係が大事だなと思うのです。舞台袖でみんなの演技を観ながら、すげえ役者が集まったなと改めて思った次第です。 」
単にストーリーを作るのではなく、役者にどんなことをやらせたいか。脚本の奥深さを感じました。
そして、それに答える演技力をもった役者さんたちがここにはいます。
冒頭に、今回の演劇の内容を知らないと書きましたが、内容を知らなくても、今回も面白いに違いないという期待感があります。
加藤さんの話でわかりました。劇団小林組には、こんな素敵な脚本を書く人や役者さんたちが揃っているからなのですね。
最後になりますが
今回も観終わってから、一緒に行った仲間たちとずっと、「若者たちは、列車に乗れたのかな」とか「あの男は、ほんとはお坊ちゃんだったのかな」とか、ずっと話をしてました。余韻が凄いんです。
劇場では、熱いものがダイレクトに伝わって来ます。
舞台の上では、カットはありません。止められません。舞台の上では、役者さんたちが、物語の人生を必死に生きています。
その思いは観客に伝わり、気づけば観客は物語に入り込んでいます。役者と同じ事を考え、一緒に笑ったり、泣いたりします。TVや映画にはない熱量が、劇場にはあると思います。
演劇ってほんと素敵ですね。
みなさんも、演劇鑑賞をされてみては如何でしょうか。まずは、信頼出来るお気に入りの劇団を探すところから始めるのも良いかも知れませんね。
劇団小林組、次回公演は11月末です!
「劇団小林組」イベントおよび外部出演情報
劇団小林組
・2024年11月30日〜12月1日 劇団小林組公演『風の狂王(仮題)』@若葉町ウォーフ
[外部出演情報]
小林敬
・2024年10月13日 平原演劇祭「埋設演劇」出演
・2024年10月14日 映画『レターパック裁判~勇者の証~』制作1周年記念上映&特別講演会
菅原隆
・2024年9月8日14時〜 鎌倉もののふ隊『川名御霊神社例大祭奉納演劇』
@川名御霊神社 歴史演劇『鎌倉権五郎景政』に出演予定
・2024年9月15日17時30分〜 鎌倉もののふ隊「梶原御霊神社例大祭奉納演劇」
@梶原御霊神社 歴史演劇『梶原の景時』に出演予定
岡ゆかり
・2024年12月13~15日,20~22日鎌倉アクターズワークショップ公演 ミュージカル『クリスマス・キャロル』
作:C.ディケンズ 音楽:後藤浩明 演出:高森秀之 @鎌倉アクターズワークショップ富士見スタジオ
・2025年2月28日 アートなテーマパーク2025 おひろめ公演『むかしむかしのはじまりはじまり』@豊島区民センター 多目的ホール
店舗情報
【鎌倉アクターズワークショップ富士見スタジオ】
■住所 247-0061 神奈川県鎌倉市台1143
■電話 080-4138-4701
■交通アクセス
湘南モノレール富士見町駅徒歩2分
関連リンク
・劇団小林組 Facebook
・小林敬 インスタグラム, note
・加藤俊輔(かまくら篆助) ホームページ, Youtube