【鎌倉 体験レポ】鎌倉教場流鏑馬-五感で感じた日本の伝統文化
流鏑馬。
馬上から矢を放ち、それを奉納する神事のことで、天下泰平や五穀豊穣などを祈願して行います。今回、流鏑馬および笠懸の磨き上げによる満足度向上事業という目的で、『大日本弓馬会 流鏑馬鎌倉教場』にて、イベントが開催されました。そのイベントでは、鎌倉文化が楽しめる体験ブースも多数出展しており、その体験レポをお届けします。
目の前を駆け抜ける、流鏑馬の歴史
流鏑馬鎌倉弓道場は、湘南モノレール湘南深沢駅から、徒歩8分ほどの場所にある稽古場。全長220mの流鏑馬専用馬場を有しており、なんと日本最大規模を誇ります。実際にその場を見ると、幅2.2mの馬場が1本横に走っており、端から端までは非常に遠く感じます。しかし馬では一瞬にして駆け抜けるため、その間に3回矢を放つということは、至難の業です。
正面向かって左手から6頭の騎馬が出陣した後、まず祈念の儀式があり、その後、騎射が始まります。私は入場時に寄付金を納めたため、屋根付きの席で見ました。そのエリアは、2つめと3つめの的を射る姿を見ることができます(立ち見席は、駆け出しから1つ目の的を射る姿がメインです)
いざ競技が始まり、目の前で馬が駆けていく姿は、とても勇ましく美しいものでした。馬のなびく立て髪や長い尾、そして地面を蹴る蹄の音と舞い上がる砂埃が、まるで歴史を運んできたようでした。神々しいとはまさにこの事。また至近距離ということもあり、馬が駆け抜けると、風を感じることができました。私は大阪育ちのため、京都市の上賀茂神社で毎年10月に行われる笠懸は馴染みがありましたが、また全く違うものだと知りました。
鏑矢が的中するたびに、客席からは「おお!」という歓声が上がり、惜しくも外れると「ああ!」という嘆息がもれます。鎌倉時代の歴史を感じる瞬間に、立ち会うことができ、非常に貴重な時間でした。
さまざまな鎌倉の歴史を楽しむ
体験ブースで、鎌倉彫や鎌倉発祥の呈茶、鎌倉子ども弓矢体験など多数展開されており、そのうち4つのブースをまわりました。
まず最初は、伝統工芸である鎌倉彫のブース。
入場後に申し込みをした、先着30名限定の漆が塗ってある箸への彫り体験をしました。また、出展者に鎌倉彫についてお話を伺うことができました。複数の工程があり、その日の湿度によって変わる漆の乾き具合を、見極めながら作業をしていることなど、多くの手間暇をかけて作られているとのこと。
また和田塚にある鎌倉彫工芸館では、体験教室が随時開催されているため、気になる方はサイトをご覧ください。
次は鎌倉時代の食文化のブース。
鎌倉市内にある老舗料理店『御代川』さんが食文化について、お話してくださいました。当時の味付け事情や、貴重だった塩の話など聞くことができました。また、御代川さんでは現代風にアレンジした鎌倉時代の食事を食べることができますよ。
3つめは能楽ブース。
歴史としては比較的浅めですが、間近で西陣織3本を使った豪華な装束や能面を見ることができました。また小鼓の体験は非常に貴重で、これには来賓の方々も楽しそうに打つ姿が見られました。
4つめは呈茶ブース。
現代でいう喫茶です。喫茶文化は鎌倉発祥とのこと。ここでは茶菓子と抹茶を座って楽しむことができました。座ると運ばれてきた茶菓子を1つとり、まずはそれを食べます。食べ終わると抹茶が運ばれてきて、それをゆっくり味わい、お茶の文化を匂いと味で楽しむことができました。
今回、初めて流鏑馬を間近で見ましたが、駆け抜ける馬と5mもないであろう至近距離で見れる機会があることは、鎌倉市の財産でもあると感じました。ぜひ皆さんも鎌倉の文化を、そして流鏑馬という日本の伝統文化を、五感で感じてはいかがでしょうか?
詳細
日時:2024年6月2日(日)9:00会場
場所:大日本弓馬会「流鏑馬鎌倉教場」
住所:〒247-0063 神奈川県鎌倉市梶原字八丁面358-4 (湘南モノレール湘南深沢駅より徒歩8分)
電話:0467-24-3600
URL:https://yabusame.or.jp/
主催:公益社団法人大日本弓馬会/独立行政法人日本芸術文化振興会/文化庁