【平塚市】新スタジアム計画に対する市の考えを湘南ベルマーレ側に回答
2023年5月17日に、湘南ベルマーレ側から事前相談のあった「湘南ベルマーレ新スタジアム計画」のうち総合公園以外の候補地に建設する案について、市が考える課題を整理した結果を湘南ベルマーレ側に回答した。
8月4日に説明するため、市職員が湘南ベルマーレを訪問する予定だ。
湘南ベルマーレ新スタジアム計画に対する市の考えとして、総合公園以外の候補地に建設する案について、市が考える課題を整理した。概要は次の通りである。
目次
民有地の利用・用途地域
- 新スタジアム建設に対する地権者の意向、土地の利用形態(購入や賃貸など)、利用する主体などを明らかにしてもらう必要がある。
- 候補地の用途地域が工業専用地域である場合には、スタジアムの建築は建築基準法に抵触する。また、市総合計画において、工業専用地域は工業用地の保全に向けた取り組みを行うこととしている。さらに、高度地区の高さ制限は31m(工業系用途以外の建物の場合15m)であるため、本計画のスタジアムはこの制限値を超えている。
費用負担・財源・公共施設としての整備
- 総事業費および維持管理費、ベルマーレ側で想定されている市負担額に対する財源構成、活用するとされている国の交付金の獲得可能性などを明らかにしてもらう必要がある。
- 市の財政は、総合計画をはじめとした行政計画などに沿って運営しているため、新スタジアム建設に多額の公費を用いることには、公共性の明確化、他事業との比較からの議論が必要である。
- 市の公共施設は、人口減少社会に即した財政負担の軽減と施設の最適な管理運営のため、公共施設再編計画を定め、施設の総量縮減や長寿命化を進めている。市内には学校、社会教育施設など老朽化した公共施設が多くあるため、市が費用負担しながらスタジアムを優先して建設する必要性、公平性を説明する必要がある。
- 企業版ふるさと納税の受け入れに当たっては、寄付対象事業を平塚市総合戦略(総合計画と一体的に策定)に位置付ける必要がある。同戦略への位置付けは、本市に対する多額の費用負担、民有地の利用、市民の理解、周辺住民との合意形成など、本計画の不明確な点や課題が整理でき、市政の方向性が定まった段階で判断できることになる。
事業スキーム
- 負担付き寄付というスキームを活用した、具体的なスタジアム整備および管理手法を明らかにしてもらう必要がある。
- 施設整備や管理運営において、競争が働かない方法で事業者を決めることは、公平性や透明性の面で懸念がある。
経済効果
- 経済効果の算出根拠と、費用対効果に関する詳細な説明が必要である。
環境対策
土壌調査
- 候補地が、神奈川県生活環境の保全等に関する条例(以下「条例」という。)に規定する特定有害物質使用地等である場合には、土地の区画形質の変更を行う場合においては、土壌調査や対策工事等が必要となる可能性がある。
騒音対策
- スタジアム利用時の騒音、振動は、条例で定める規制基準が適用される。隣接地に民家がある場合には、防音・防振の対策が必要となる場合がある。
公害を発生するおそれのある施設設置
- スタジアムの建設に当たり、ボイラなど、公害を発生するおそれのある施設として法令に定める施設を設置する際には、法に基づく届け出、条例に基づく許可申請が必要である。
道路・交通・下水道への影響
- 候補地内に市下水道管理の雨水施設および土地が存在している場合は、土地の交換、雨水施設の切り回しなどが必要となる場合がある。
- 交通量増加に伴う周辺道路の混雑が予想されるため、駐車場確保や道路改良などの対策が必要となる場合がある。
- 駐車場の想定位置や周辺の道路の交通渋滞について、道路管理者(県・市)、交通管理者との協議が必要となる場合がある。
防災拠点としての整備
- 防災拠点として検討されている具体的な施設整備の内容および受け入れ想定や機能の詳細を明らかにしていただく必要がある。
- 総合公園は平塚市地域防災計画において、総合防災基地としての役割があるため、提案にある「防災・医療拠点となる公共公益の場」との整合性を図る必要がある。
公園施設整備(民有地を総合公園の一部とすることを考えた場合)
- 候補地の現況が公園ではない中で、どのようなステップで公園施設としてスタジアム建設を進めていくか、明らかにしてもらう必要がある。また、スタジアム以外の敷地も公園施設として整備する必要があるが、それらを含む公園整備の主体、公園整備や維持管理に必要な費用負担などについても明らかにしてもらう必要がある。
- 既存の総合公園との一体的な運用が求められるが、利用者の安心安全な利用を考慮すると、公園バリアフリー化の基準に従い、総合公園と計画地の動線確保が必要となる。ペデストリアンデッキや地下通路などが考えられるが、その開発手続きや整備費用が必要となる。