【鎌倉 体験レポ】*金継ぎ*kitakamakura - 初心者でも安心。本漆でじっくり復元する、本格的な自然派金継ぎレッスン
北鎌倉で唯一の自然派金継ぎレッスンを体験
本漆を使い時間をかけて割れ物を修復していく、「自然派金継ぎ」のレッスンを北鎌倉で受講してきました。現在は北鎌倉駅から徒歩12分の場所にある「高野台自治会館」にて教室が開催されています。
工程がいくつもに分かれており、完成するまでのレッスン回数は平均して5回ほどです。
合成樹脂を用いればものの1日で完成させることもできる金継ぎも便利ですが、大切にしているものはやはり天然素材で心を込めて修復したいもの。
本漆は、時間を要しますが人体に有害な物質が溶け出す心配もなく、より安全で丈夫に復元することができます。
筆者が持参した器は左上から時計周りに「ココナッツボウル」、「美濃焼き茶碗」、「琉球グラス」、「焼成方法不明の小鉢」の4点です。
教室では、3点前後を目安に手持ちの割れた器などを持参します。
ちなみに、金継ぎ体験をしたいけれど割れた(欠けた)食器が無いという方の中には、不要になった器をタオルなどに包んで安全に割り、持参する方もいらっしゃるそうです。
手始めに行うのは「ダイアモンドやすり」という種類のやすりで断面をよくやする作業です。
つるつるした断面のまま漆を塗ってしまうと接着しにくいため、凹凸をつけるために行います。
ポイントは平らになっている断面部分だけではなく、角の尖っている部分も「面取り」の要領でやすっていくことです。
ガラスは陶器類よりも素材が固く、金継ぎの難易度が少し上がる器です。
陶器用のやすりとは別のダイアモンドやすりを使いました。
これらのやすりは、百円ショップでも入手できるそうです。
このように粉がしっかり出てくるように十分にやすり、指で断面を触りザラザラしてきているか確認します。
粉を吸い込むリスクについてはあまり心配することは無いそうですが、気になる方はマスクを着用してやすることをおすすめします。
続いて、本漆を塗る前段階の下地として「生漆(なまうるし)」を、やすりがけ済みの断面に薄く塗ります。
本漆よりもさらりとした質感で、茶色をしていますが、空気に触れる前はクリーム色をしているそうです。
塗布時はビニール手袋をお借りし作業しますが、7~8人に1人の割合で漆により皮膚などがかぶれる場合があるそうです。
天然原料ではあるものの、どうしても作業が難しい場合は本レッスンの受講を控えたほうが良いかもしれません。
また、パレットがハマグリの貝殻というのが粋だと思い理由を尋ねてみると、貝殻は漆がくっつきにくくパレットとして優秀とのことでした。
筆は漆がついたままでは固まってしまうため作業終了後に洗う必要があります。漆は水や石鹸などでは落ちないため、揮発性の油などを使うそうです。
「生漆」の塗布は、次工程の「本漆(麦漆)」を接着しやすくするための作業です。
ひびがあれば、その割れ目にも漆が行き届くように意識して塗布しました。
塗りすぎも接着されにくいため、塗布後はティッシュオフして乾かします。
生漆の塗布後、断面が乾いたらいよいよ本漆(麦漆)を塗布します。
水と小麦がおおよそ1対1ほどで漆に含まれており、粘り気があります。粘着力は「噛んだ後のガム」程度の硬さが目安のようです。
木べらで薄めに塗っていきます。
たっぷりと塗ってしまうと、性質上漆が縮みシワになってしまうそうです。
ココナッツボウルの金継ぎは、ガラス同様、難易度が少し上がります。
植物性の素材のため、漆の色が滲みやすく仕上がりが美しくなりにくいためです。
滲み防止のため「卵白」を断面の周りに塗布してから漆を塗ります。
また、ガラスも素材の特性上漆の色が透けるため、仕上がりが美しくならない可能性があります。
本漆を塗布した後も、しばらく放置します。
他の破片を塗布している間、漆が乾きすぎてしまわないか気になりますが大丈夫です。漆は乾きにくい性質のため、焦らずに1つ1つ丁寧に塗布します。
乾いたら、マスキングテープを貼り固定させます。この時、器の表面に凹凸ができていないか指で確認すると良いそうです。
今回は完全に割れた器を持参しましたが、もちろん「欠け」についても修復できます。
大きな欠けは「刻そう漆」(木粉を混ぜた漆)という漆を用いるそうです。
金継ぎ第一回目、一旦こちらで終了です。
ここから最低3週間ほどは寝かせますが、漆は面白いことに「湿度があるほどよく乾く」(普通は逆だと思いますよね)性質があり、梅雨どきはよく乾くそうです。
自宅で保管する際は、乾燥する冬などは濡れたタオルなどと一緒に箱に入れると良いそうですよ。
丁寧な指導で安心して体験できる
筆者は漆を見るのも金継ぎをするのも初めてでしたが、先生の丁寧な指導のもと楽しく終えることができました。
先生の、金継ぎに関する豆知識やちょっとしたアドバイスがあるので、初心者でも安心して取り組めます。
次回はどの様な工程があるのか、またどんなお話を聞けるのか楽しみです。気になる方はぜひお問い合わせくださいね。
教室紹介
【*金継ぎ*kitakamakura】
■場所:〒247-0056 神奈川県鎌倉市高野2
■日時:火曜または金曜の10:00~12:00 ※予約カレンダー参照
■料金:1回2,000円 ※初回別途4,800円(施設使用料・材料費および道具レンタル代・消耗品費など 1年更新)仕上げ磨きのみの回は500円
■持ち物:直したい器3点前後(ガラスは応相談)、修復部分の漆が付かないように持ち帰れるしっかりとした大きな袋、汚れてもいい服又はエプロン、マスキングテープ
※予約の日程変更やキャンセルは3日前まで
※車2台まで駐車可(事前申請)
※純金粉(本金)での仕上げは別料金。真鍮粉(金色)や鍚粉(銀色)は料金内で使用可。