平塚市が市内の認可保育所における乳幼児死亡事案に関する検証報告書を公表
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2023年5月22日、平塚市は市内の認可保育所における乳幼児死亡事案に関する検証報告書を公表した。
検証報告書の作成経緯・検証目的
2017年4月27日、市内に所在する認可保育所において発生した乳幼児の死亡事案が発生した。
「平塚市特定教育・保育施設等における重大事故の再発防止のための事後的検証委員会」は、事実関係の把握、発生原因の分析等を行うことにより、必要な再発防止策を検討し、市に提言する目的で設置された。
2022年4月から検証等が実施され、令和5年5月16日に当該検証委員会から、再発防止に向けた提言をまとめた報告書が提出された。
事案の概要
2017年4月27日、市内に所在する認可保育所において、当時1歳1か月であった女児が午睡中に急変し、病院に救急搬送されたが、同日15時4分に搬送先の病院で死亡が確認された。
2021年11月1日に事案発生当時、園に勤務していた保育士Aは傷害致死の疑いで逮捕され、同月19日に起訴された。
(2023年4月時点では、公判は始まっていない。)
要因から考えられる課題と再発防止策の提言
検証報告書では、事案が発生した要因として、偶発的要因と故意の作為による要因が考えられ、双方に対する再発防止策が提言された。
偶発的に発生した事案として考えられる要因と再発防止策
当時、園に勤務していた保育士の証言等からは、不適切な物品や設備は確認できなかった。
しかし、本児の頭部を偶発的に硬質の物体に接触させてしまう可能性や、硬質の物体を本児の頭部に落下させてしまうということが考えられる。
また、保育中の本児の落下一定の高さから、本児が落下することにより、頭部が骨折する可能性も考えられる。
再発防止策としては、保育に不適切・不相応な用品の更新または撤去や、保育を実施する部屋の床素材の再検討が必要であるとした。
故意の作為による事案として考えられる要因と再発防止策
保育者が一定の高さから本児を落下させ、または硬質の物体に本児の頭部を意図的に接触させ、もしくは硬質の物体を本児の頭部に意図的に落下させ、危害を加えた可能性が考えられる。
再発防止策としては、保育者を1人にしない体制の検討や、防犯カメラの設置が提言された。
検証報告書による指摘内容等
本事案においては、事案発生から4年6か月余り経過した後に担当していた保育士が逮捕されたが、逮捕後1年4か月以上経過した現在も公判が始まっておらず、証拠類が開示されていない。
そのため本検証は、収集できる情報は極めて限定された中で実施された。
検証報告書では、関係者の記憶が鮮明なうちに再発防止策を検討することが必要であることから、捜査機関や裁判の進捗にかかわらず検証すべきであったとしている。
また、検証報告書では以下の通り、本事案に関連して付言すべき事項および今後の課題が提言された。
- 運営管理体制
- 就労条件の異なる職員の増加による認識共有と正規職員の負担増加
- 配慮を必要とする子どもへの対応
- 重大事故発生後の園における組織としての取り組み
- 入所して間もない子どもの体調変化への対応
- 保育士の待遇向上及び配置基準改善並びに事務の効率化
- 市の検証時期に関する指摘