【横須賀 イベントレポ】YOKOSUKA PARKOUR SCHOOL PROGRAM-個性豊かなパルクールと子ども達の大歓声
フランス軍のトレーニングが発祥と言われる「はしる」「とびこえる」「のぼる」という動作をフローという流れに沿って行うパルクール。技の綺麗さや難易度を競うフリースタイルと、A地点からB地点までの速さを競うスピードランという競技に分かれています。
アクロバティックでスリリングな技の数々を楽しませてくれますが、意外にもパルクールの絶対条件は「安全である」ということ。
危険に挑むという競技ではなく、トレーニングを通じて感じた自身の限界と向き合い・突破していく新しいスタイルのスポーツです。
そんなパルクールの魅力と本質を子ども達に伝えるために、国内外で活躍中の選手5名が今回初めて小学校を訪問するとのことで取材に行ってきました。
横須賀市内の森崎小学校への訪問に続いて行われた「鶴久保小学校」でのイベントの様子をお伝えしていきます。
多種多様な選手たち
東京都体操協会・パルクール委員会の吉田宏さんの元気なご挨拶からイベントがスタートし、体育館に集まった児童たちの集中力も一気に高まります。
前半は4,5,6年生へ向けて選手たちの講演が、後半では全校児童が選手たちのパフォーマンスやデモンストレーションを楽しめる時間となっていました。
吉田さんからの合図で現役活躍中の5名の選手が体育館の外からパフォーマンスをまじえて登場!児童たちの大きな歓声に包まれます。
選手の多くはYoutubeなどの動画でパルクールに魅了され、独学で学んできたそう。
みなさん小さなころから体操をやっていたり、体を動かすのが好きで木登りや縁石・横断歩道などを飛び超えたりして遊んでいたのだとか。
そんな選手が多い中「小さな頃は運動が得意ではなくて絵を描いたり工作することが好きだった」という、今年7連勝中で負け知らずの大貫海斗選手からの意外な言葉には「パルクールは運動が得意じゃなくてもできるのだ。」と、勇気づけられた児童も多かったのではないかと思います。
大貫選手を含め
●世界大会にも出場し全日本で2回も優勝経験のある鈴木智也選手
●パルクールの中でもスピードランという競技で活躍されている関慎太郎選手
●まだパルクールの選手のなかには2%くらいしかいないという貴重な女性選手でもある近藤凪紗選手
●有名歌手グループ(EXILE)のコンサートでもパフォーマンスをしたことがあるという齊藤颯人選手
という多様な経験や背景をもつ5名の個性豊かな選手の皆さんが、それぞれを尊重されている姿が印象的でした。
児童たちも興味津々
パルクールの選手には普段はお子さんを相手にインストラクターをしている方も多いとのこと。そのせいか児童たちとのやりとりもとてもフレンドリーで、自然な会話を楽しんでいるように見えました。
児童からは様々な質問がありました。中でも「勝負の時に聴く曲は?」という問いに
「ラップとかのアップテンポの曲」「アップテンポは緊張するから自分の世界に入れるような曲」「寂しい感じの曲も聴く」「自分のリズムを作りたいので曲は聴かない。瞑想する」
など、選手によって全く異なる答えが聞けたことがとても興味深く、それぞれの違いを受け入れる関係性を垣間見ることができました。
留学経験があり世界大会にも日本代表として出場したこともあるという鈴木智也選手が「パルクールの選手はトップレベルで仲がいい。」と教えてくれたのですが、その言葉の通り皆さんの人柄や仲の良さが次の時間に行われたデモンストレーションでも表れていたように感じます。
選手は初心者?!
本格的なパフォーマンスを見る前に「初めてパルクールをやるときにおすすめ」として
ジャンプは着地をしっかりと意識できればすごく安全になること
障害物を飛び越えるヴォルトという技
流れるように技を連続するフローという動き
を、選手自身が先生と初心者の役をやりながら、ユーモアを交えてレクチャーしてくれる場面がありました。
「失敗したらどうする?!」という児童からの率直な質問には「失敗しないようにトレーニングをしている」とのことで、実際に転んでも一回転して受け身をとるところを実演。
リアリティのある説明で、多くの児童が身を乗り出して見入っていました。
5人そろってのレアなパフォーマンス
最後は5人それぞれが次々にパフォーマンスを見せてくれます。5人が揃ってパフォーマンスをすることはあまりないらしく、とても貴重な機会となりました。
見慣れた学校の跳び箱を使って、圧巻のパフォーマンスを目の前で見せてくれた優しい選手たちの姿は、きっと児童たちの心に焼き付いたのではないかと思います。
選手が華麗な技を披露するたび、あるいは高いところからジャンプで登場した際などには体育館の地面から湧き上がるような児童たちの歓声を体中に感じることができました。
パフォーマンス後にお話を伺った鈴木智也選手は
「小学校でのパフォーマンスは初めてだったので、盛り上がるのか正直心配していたのだけど、想像以上の反応をもらえてとてもうれしい。」
と、初めての試みにとても満足されている様子でした。
基本ネガティブなことは外に出さないという鈴木選手は大変な時期にモチベーションを保つときにも、うまい選手をみてこんな風にやりたい!と気持ちを奮い立たせているそう。
月に1回行くというディズニーランドや、ファンクラブにも入っているという女性歌手グループの「Perfume」のライブに行くこともリフレッシュやパワーの源につながっているという微笑ましいエピソードも教えてくださいました。
「自分自身、趣味で始めたことがここまで大きなことになるとは思っていませんでした。パルクールを夢中でやっていて、気が付いたらここにいた。という感じです。
みんなも何がきっかけで何に出会うかは全くわからないから、今やっていることが無意味とか思わずに諦めずにチャレンジして欲しいです。」
というこれから未来に向かってすすんでいく児童やお子さん達へのメッセージもいただきました。
新しいスポーツを横須賀に見に行こう!
何よりもパルクールそのものを楽しんでいる様子だったトップアスリートの皆さん。
かっこよさと面白さで児童たちの心をわしづかみにしたであろう当日のパフォーマンスも、ほぼアドリブでお互いの様子を常に観察しながら行われていたとのこと。
技の華麗さもさることながら、皆さんの観客を引き付けるエンターテイメント力の高さにも驚きを隠せない時間でした。
自分たちがすでにやっている「線の上を歩く」「高いところからジャンプする」もパルクールなんだ!ということがわかり、安全にできるという新しいスポーツ「パルクール」に興味を示した児童も多かったのではないかと思います。
横須賀市では昨年よりパルクールの大会を開催しており、2024年10月26日(土)には横須賀の三笠公園で、日本最高峰のパルクール大会「PARKOUR TOP OF JAPAN YOKOSUKA 2024」の開催を予定しています。
パルクールが気になった方は、ぜひ実際に足を運んで選手たちの優雅で繊細なパフォーマンスを間近で楽しんでみてください。
大会の詳細はこちらの記事からどうぞ。
イベント詳細
【YOKOSUKA PARKOUR SCHOOL PROGRAM】
開催期間:10月7日(月)森崎小学校
10月9日(水)鶴久保小学校
開催場所:鶴久保小学校
主催:横須賀市
協賛:一般財団法人シティサポートよこすか
協力:東京都体操協会パルクール委員会