【逗子 イベントレポ】「逗子アートフェスティバル2023」プレイベント~逗子医療センターギャラリー・体験ワークショップ
逗子市と市民が協力して運営するアートイベント「逗子アートフェスティバル2023」(主催:逗子アートフェスティバル実行委員会)が、10月7日~29日まで「アートのよはく」をテーマに開催されます。
同フェスティバルは逗子市内で展示やパフォーマンスが繰り広げられるアートの祭典。今年は3年に1度規模を拡大するトリエンナーレ年に当たるとあって、関係者の士気も上がっているようです!
市内各所で開催される同イベント。その中の一つ「逗子医療センターギャラリー」のプレイベントを取材してきました。
医療センターがアートギャラリーに変身
逗子医療センターは、58年間開業を続けてきた医療施設。テナントだった診療所と薬局が2023年2月に移転してできた空室を、今回のフェスティバルのために提供してもらえたのだそうです。
フェスティバル開催に先立ち、同ギャラリーではワークショップを開催。伺った10月1日は、壁アート(ペンキ塗り、装飾)体験会が行われていました。
「青の晩餐」柴田雄一郎(逗子アートフェスティバル総合プロデューサー)
「青の晩餐」は、プロデューサーである柴田さんの友人、佐々木健蔵氏が亡くなる前に柴田さんに託したアイデアノートに書かれていた世界観を再現したものです。
ノートには文章や詩などが書かれていたそうです。全てが青に塗られ、斜めに設置された家具。
常識ではあり得ない世界で感じるさまざまな気付きをとおして日常を再構築する。「日常の当たり前を疑い、問いを発する」経験を皆さんにしてもらうのが狙いだそう。
ペンキ塗り体験ワークショップの様子です。全員黙々と仕事を進めていて、何だか工事現場のようですね……。
逗子市内在住の女性は「今日は汗だくになるつもりで来ました。こんなに広いスペースでペンキ塗りができるチャンスはなかなかないので楽しみです」と気合十分な様子。服にペンキが付いても気にせず、作業を進めていました。
日常を疑う、青い部屋と傾いた家具
青い部屋で起こる「日常の再構築」という事件。ちょっと難解な感じがしますが、要は常識だと信じていることを一度全部疑ってみる。いったんゼロにして、新たな世界観を作り直すということです。その体験は行き詰まった状況を打破し、新しいものを生み出すきっかけになるはずだと、柴田さんは言います。
言うなれば、旅で経験するような異文化体験による価値観の崩壊・再生をアートで経験する思考実験です。柴田さんの生み出す日常の冒険を、ぜひ体験してみてください。
14日には、同じ会場で、食紅で青く染めたラーメンやカレーを食べるワークショップも開かれます。
~go me~環境を考える写真展「Nature Calls」 ブルース・オズボーン(葉山在住写真家)
ブルース・オズボーンさんは在日約40年。有名企業の広告写真を多数手がけてきた写真家です。1982年から親子をテーマにした写真展「親子の日」シリーズを展開。
2014年に制作したドキュメンタリー映画「OYAKO」ではベルリン国際映画祭でベストドキュメンタリー賞を受賞しています。
葉山に移住したことがきっかけでビーチコーミングを始め、環境問題を意識するようになったそう。今回のワークショップのテーマでもある、「Nature Calls」シリーズは、海洋ゴミをアートに再生する展示会です。
こちらがワークショップの様子。当日朝はまず参加者が輪になってミーティング。自己紹介や雑談が交わされ、和やかな雰囲気でスタートしました。
ブルースさんは「このワークショップは何があっても失敗じゃない。一緒に作業しながら、どんどん変更していくので、一緒に作るという気持ちで楽しんでほしい」と参加者に呼びかけています。
さっそく分かれて作業開始。壁にペンキを塗る人、展示物の位置を測ってマスキングテープで印を付ける人。みんな楽しそうです。
壁のペンキ塗りも、参加者のアイデアが爆発! 素敵なアート作品になっています。
こちらがブルースさんが海岸で集めたゴミ。「きれいなものを拾っている気分で集めています。ゴミ拾いというより、宝探しみたいな感じ」とブルースさん。
今からこれが素敵なアートに変身していきます。どんなふうになるのでしょうか。
少し作業が進みました。ポップでかわいい! ゴミだったとは思えません。確かに宝物のようですね。
アートが大好きという逗子在住の高校生は「写真やデザインが好き。今日は楽しそうだと思って参加しました。アートは自由で、個性が出せるところがいいと思う。楽しんでやりたいです」
環境問題であっても楽しんで考えてほしいと、ブルースさんは言います。「誰も悪くない。ただ、向き合い方は変える必要がある」。
参加者と一緒にアートを楽しみながら、私たちが何をすべきかを問いかけます。
アートに変わる逗子の藤ヅル「鼓動」 久保島一裕(華道家)
部屋いっぱいに広がる、巨大な藤のツル。中央にあるのは大木ではなく、成長した藤のツルなのだそう。こちらは、生け花作家の久保島一裕さんの作品「鼓動」です。
すごい迫力と躍動感。あの細いツルが、人の背丈よりも大きくなるんですね!
「ツルは放っておくと他の植物を枯らしてしまう。伐採して捨てる予定だったものをアートに再生して展示しました。会場が医療センターなので、心臓のイメージで。動き出す生命力を感じてもらえれば」と作品コンセプトを説明してくれました。
久保島さんは、昨年の一般社団法人帝国華道院主催「いけばな大賞2022」一般部門(自由花の部)で文部科学大臣賞を受賞。
また、逗子葉山高校の合併完工式に作品を提供するなど、アーティスト活動を行っています。普段は花屋さんを経営しています。
「つながらない物事をつなげる力が、アートにはあります」福井ひろ子さん(暮らし空間プロデューサー)
今回の展示を総合プロデューサーの柴田雄一郎さんと共同でプロデ
「オトナの文化祭」を思わせるワクワク感
イベントは終始和気あいあいとして、オトナの文化祭といった趣でした。雑談を楽しむ人、黙々と作業に当たる人。
アートを核に集まった地元の人々が共に作品を創りながら、自由に楽しくつながっているのを感じました。
後編は柴田雄一郎、ブルース・オズボーン両氏のインタビューです。個性的なお二人の生み出す世界観について、分かりやすく語っていただきました。こちらもぜひご一読ください!
https://shonanjin.com/w/news/zushi_medicalcenter_ws2/
イベント詳細
【逗子アートフェスティバル2023 逗子医療センターギャラリー】
日付:2023年10月7、8、9、13、14、15、21、22、28、29日
時間:11:00 〜16:00
場所:逗子医療センター
主催:逗子アートフェスティバル実行委員会
共催:逗子市/逗子市教育委員会
企画・運営:逗子アートネットワーク
協力:アートテラスホーム/有限会社 逗子医療センター/TRIAD
問い合わせ先:
TEL:046-873-1111(逗子アートフェスティバル実行委員会)
Email:zafkouhou@gmail.com(逗子アートネットワーク)
地図
アクセス
京浜急行 逗子・葉山駅から徒歩30秒