【藤沢 イベントレポ】藤沢今昔・まちなかアートめぐり2022 - 歴史の息吹と、芸術の探究を体感する②
作品が展示会場と同化しているかのようです
2022年11月12、13、19、20、26、27日、12月3、4日 (土、日) の期間、藤沢本町の関次商店 パンの蔵 風土・旧稲元屋呉服店・旧桔梗屋・有田家の各会場を舞台に【藤沢今昔・まちなかアートめぐり2022】という展覧会が開催されています。
この展覧会は今年2022年で13回目の開催で、登録有形文化財の町家や蔵・庭園を会場としてその特性を活かした現在進行形アートの探求と、歴史文化遺産の次世代継承の推進を目的として実施されています。
全2記事でこの展覧会をご紹介しています。
前編の記事はこちらです。
【藤沢 イベントレポ】藤沢今昔・まちなかアートめぐり2022 - 歴史の息吹と、芸術の探究を体感する①
こちらは『旧桔梗屋』です。
桔梗屋は茶・紙問屋を営んだ旧家であり、店蔵は市内に現存する唯一のものだそうです。
江戸時代末期の文庫蔵などもあります。
ここでは伊東直昭、オノ・ヨシヒロ、佐々木薫、石黒和夫の4名が作品を展示しています。
オノ・ヨシヒロは母屋で大量の絵を展示していました。
大小さまざまなサイズのキャンバスにそれぞれ抽象的な絵が描かれています。
一つ一つの絵も素晴らしいですが、全体のうねりやリズム感がとても心地いいです。
建物自体のもつリズムにも呼応しているかのようでした。
佐々木薫は2枚の大きな絵と、さまざまなオブジェを組み合わせて全体でひとつのインスタレーションを展示していました。
生物の体内と同化しているかのようなその空間は、個々人の自意識を超えたもう一つの意識をダイレクトに伝えています。
鑑賞者の心を映し出す鏡のようにも感じました。
石黒和夫は庭園で作品を展示していました。
木や枝で組まれた大きな自転車がありました。
観ているうちに、自転車とは別の何かに思えてきます。
空間から生まれた別種の生命の息遣いが感じられました。
旧稲元屋呉服店でも作品を展示している伊東直昭は店蔵の前に作品を展示していました。
旧稲元屋呉服店の作品と同様に、作品たちは元からそこにいたかのように感じられました。
空間と溶け合い、空間そのものが有機物に変質しているかのようでした。
会期中には毎日30分ほどの音によるパフォーマンスが、有田家・旧桔梗屋・旧稲元屋呉服店の各会場日替わりで行われます。
加藤裕士という音楽家によるパフォーマンスで、通常の音楽の演奏会とは異なり、環境音や周囲の空間全体の音に意識を向けさせるような演奏でした。
展示作品のそばで演奏されたので、作品の見え方もだんだん変わってきます。
11月19日(土)と12月3日(土)にはそれぞれギターの弾き語りをする上原知巳とenpuku izumiがゲストで参加するそうです。
今回の展覧会では、全ての作品が展示する場所との対話のうえで作られているように感じました。
建物や土地の歴史や息吹を感じ、感じたことを大事にして作られた作品の数々は、空間全体に元々あったものかのように同化していました。
芸術とは個人の感情をただ吐き出すだけのものではなく、世界をしっかりと感じてそこに自らも混ざり合うことが大切なのだと学ばされました。
みなさんもぜひ【藤沢今昔・まちなかアートめぐり2022】に足をお運びください。
イベント詳細
【藤沢今昔・まちなかアートめぐり2022(旧桔梗屋)】
■開催日:2022年11月12、13、19、20、26、27日、12月3、4日 (土、日)
■開場時間:10時30分~16時 (パンの蔵 風土は日月火曜を除く9~15時)
■開催場所:関次商店 パンの蔵 風土・旧稲元屋呉服店・旧桔梗屋(〒251-0052 神奈川県藤沢市藤沢1丁目1−9)・有田家
■参加作家:伊東直昭、オノ・ヨシヒロ、加藤裕士、佐々木薫、坪井美保、石黒和夫、ASADA、福家由美子
■入場料:無料
※駐車場なし
アクセス
旧桔梗屋:小田急電鉄江ノ島線藤沢本町駅から徒歩約11分
JR藤沢駅から徒歩約13分